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長泉院

札所二十九番
笹戸山長泉院

巡礼歌
分けのぼり結ぶ笹の戸おし開き
仏を拝む 身こそたのもし

御本尊は聖観世音で、藤原時代の元三大師作、一尺五寸七分の木彫り立像になります。
縁起によれば西暦715〜723年の頃、山麓の渕から毎夜不思議な灯が漏れるので、村人が怪しんでいたところ、十余人の僧が来て笹の茂る岩屋の中より聖観世音を見出し、そこに堂宇を建てて像を安置したのが寺の創始であると言われています。
別名、石札堂(せきさつどう)ともいうそうです。

開山は正暦元年(西暦990年)、飛沼(とぬま)太郎右衛門を開基に創建されたと伝えられております。
岩山の崖の下にあった堂宇は、三度に渡る火災で焼失しました。火災により岩屋が崩れ、同じ場所に再建するには困難を極めたため、天保4年(1833)現在の場所に本堂が建てられました。間口七間半、奥行六間半で、大間の格天井は江戸納札会の寄進による千社札をもって構成したもので、その意匠は特異のものとなっています。

ご宝物

・聖観世音菩薩
 御丈一尺八寸四分。伝来する話には、龍神が毎夜灯を献じたと言う事から、龍燈観音とも呼ばれている。

・石札
 熊野産の黒石で25×8.5cm、厚さ2.5cm「石札定置巡礼」と刻まれています。伝えによれば文歴暦元年秩父霊場開山の折、熊野権現より奉納されたと言われ、この様な石札があるのは、津の国中山寺、筑波の大御堂と、当札所秩父二十九番の三ヶ所と伝えられています。

・葛飾北斎筆納額
 法楽和歌の板額で、江戸時代後期の作「富嶽三十六景の桜の図」。長さ2m、幅62cm。文化8年(西暦1811年)北斎灯下の筆。

・徳川将軍家奉納品
 徳川五代将軍綱吉の側室北の丸の姪、竹姫の眼病祈願が叶い、その御礼として宝暦五年より安永六年まで6回にわたり奉納された物です。

・地獄極楽絵草紙
 長さ六尺幅三尺のものが四枚続きになっています。紙地に地獄極楽の想像図が描かれており、江戸時代の庶民の教化資料として利用されたものと考えられています。

・香炉
 明和元年(西暦1964年)霜月に、玉田与七が先祖の菩提を弔う為に納めたもので、香炉のいとじりに洛東山の刻印があります。白地にルリ色の唐草模様が施されています。